栽培、園芸、農作、牧畜、とにかく育てて収穫しておいしくいただく系の学問。地中の魔素がどうのとかどこそこの尾根の雪解け水をいくつ配合だとか、そういうのもここ。
【魔法農耕学 講義風景】
「土壌と心は似ている。学びとは芽吹きと同じ。強く引っ張れば根が切れる。愛で、時がくれば自然と花開く。ここが、諸君の人生が芽吹く場所にきっとなるだろう。私は、大地は、諸君を歓迎する! ようこそ! 魔法農耕学へ!」
アストラ学園「魔法農耕学」――その最初の関門となるのが、ルヴィルクルス・ウラーニアが独断で行う《適性試験》である。毎年形式が異なる、詩的かつ意味不明で感動的な伝説の儀式じみた試験だと生徒の間で語り継がれているとかいないとか。
■《新入生適性試験》について
【試験名】種の声を聴け
■ 試験の流れ
1.集合(夜明け前)
集合時間は朝露がまだ生きているうちに。だいたい午前4時半〜5時頃。遅刻した生徒は、試験地に到着すると謎の音楽に迎えられながら野菜スープを飲まされる。めちゃくちゃ苦いが身体が楽になる。
2.「種との対話」
無数の鉢植えの中から一つの“呼ばれた気がする”鉢を選ぶ。植物の声を聞いたと感じたら、その鉢に触れてなんでもいいので「育てたい理由」を言葉で語る。
3.「土の返答」
鉢の土が反応すれば合格。反応は様々で、芽が出る・光る・歌う・土がほほえむ、など。無反応でも不合格ではないが、「何かが違う」と受講をやめてしまうパターンもあるらしい。
■ 合格発表
ルヴィルクルスが《農耕讃頌》を歌いながら紙吹雪をまき散らす演出とともに、選ばれし鉢が各自のもとへ飛んでくる(物理)。紙吹雪の中にはたまに彼の手書きメッセージや、前年度生の応援が混ざっている。
「他の講義では学年ごとにやることが決まっていると思いますが、この講義は決まっていません。動植物優先です。実をつけるまでに三年かかる子を選んだのなら三年。花を咲かせるのに十年かかるのなら十年。その覚悟がないのなら、はっきり言います。あなたに農耕は向いていません」
「魔法農耕とは命と向き合い対話する学問です。必ず芽吹くとも花咲くとも実がなるとも約束はできません。ですが、これだけは約束できます。『絶対にあなたを枯らすことはない』と」
