トールト鳥捕獲のクエストはその日のうちに募集されることになった。
推奨人数3人。知性の高い鳥ではないが体が大きいので肉の持ち帰りの為の人数がいた方がいいらしい。
クエストの張り出された掲示板を眺めていると言い合いをしている男女が目についた。
「一緒に行くからって私の邪魔はしないでよねホッポ」
「へーへー。お前こそ俺の足引っ張んなよな?」
ぎゃいぎゃいと賑やかに掲示板を見ている2人。
男の方は頭に短い角が生えていて長身かつ全身の筋力が多いので鬼の一族だと見受けられる。女の子の方は平均よりも少し身長が高い程度の細身の人間のように見えた。
黄都には人間が比較的多いとは聞くがそれでも世界人口の3割ほどしかいないので仲間を見つけたような気持になって少しうれしくなる。
「って、ちょっと。トールト鳥のクエスト3人必要じゃない」
「え、聞いてねえよ?」
ちょうどいいところに同じクエストを受けようとしている2人と1人。
これは参加しない手はない。
一緒にクエストに参加しないかと声をかければ女の子の方は少しびっくりしていたが男性の方がすぐに明るい返事をくれた。
「ほんとか!たすかるぜ!!
俺はホッポ。よろしくな。こっちのつっけんどんな奴はリピスってんだ」
「だれがつっけんどんよ。……よろしくお願いします」
ぺこり、と会釈はしてくれたが確かに愛想がいいとは言えない女性だが、その分まじめだということがとてもよく伝わってくる。
こうして絶品サンドイッチをあきらめきれない冒険の旅に即席での仲間が増えたのだった。
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登場人物 リピスとホッポ