財布を取り戻してもらい一息ついたところで「興楽の準備があるから」と、ここまで案内してくれたカプラとは解散になった。
親切にしてくれたお礼に興楽を絶対見に行くと心にきめて『レスト・フェザーズ』と書かれた大きな扉を開く。
見た目に反して少ない力で開いたドアは手入れがよく行き届いていた。
「お?祭りの時期でもねえのにお客さんたぁ、珍しいな!!」
奥から聞こえてきた声は予想よりも声量があり思わず肩をすくめてしまった。
「ガハハハッ!そんなビビらんでも獲って食ったりしねえから安心しな!!」
見れば自分の倍ほどありそうな体格の男性が奥の机に座っていた。
「いつもは嫁さんが店番をしてくれるんだが今日は仕入れに出ててな!!兄ちゃん、宿泊か!?飯か!?」
サンドイッチがおいしいと聞いたので…と伝えれば
「よっくわかかってんじゃねえか兄ちゃん!!エティシアの作る飯はなんでも旨いんだぜ!!」
とりあえずそこに座って待ってな!!ガハハハッと店主らしき人は豪気に笑っていた。
暇なので店内を見回してみると武器や防具が多く置いてある。
扱いやすそうなものから装飾の凝ったものまで。
「なんだぁ!兄ちゃん!!武器に興味あるんか!!だったら工房に案内してやろう!!」
え、いや別にいいです…という言葉はどうも拾ってくれそうにもなくそのまま流れで店の奥に案内されることになってしまったらしい。
半ば引きずられるように連れていかれてしまうので露店で干した果物でも食べておくべきだったと後悔をして、どうにか上手い事やっていけるようにと腹の虫をさすった。
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登場人物 ガレフ・スルブ