石畳の道に活気ある商人が行きかっていた。
石や木でできた建物が多く並んでいて装飾や食べ物の露店が目につくここは黄都で1番賑わっている町ハトハラ。
王国騎士団が宿舎が近くにあるおかげか賑やかで彩られた街だった。
この街のおすすめの料理はどこで食べられるかを聞きに行こうと辺りをきょろきょろ見回していたら後ろから楽しそうに声をかけられた。
「お兄さんこの街ははじめて?」
振り返ってみると真っ白のふわふわな耳と虎柄の長いしっぽが目についた。
ニコニコと愛想のいい笑顔を浮かべたその人は獣人と分類される種族だろう。
そうなんだ、旅をしていておいしいものを探してると伝えればその獣人は嬉しそうに話を聞いてくれた。
「それだったら、レスト・フェザーズのサンドイッチがおすすめだよ!
レストは宿にもなってるし、美人のお嫁さんが毎朝焼いたパンでとってもおいしいの」
彼女が喋る度にしゃら、と腰布の薄い金属が揺れる音が耳に心地いい。
腰に巻いた布にちりばめられた薄めのコインたちが揺れて耳心地のいい音を出している。
へその出ているきらびやかな服装から想像するに彼女は踊り子なのかもしれない。
「街を案内するからよかったらついてきて!」
彼女の人の好さと旅先での親切も相まって断る理由は特になかった。
この案内をきっかけに今日が驚くほど長い1日になるなんて、その時はまだ知らなかったんだ。
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登場人物 カプラ・ヤームゥシュ