7.絵描きの青キツネ

トールト鳥捕獲のクエストを受ける為に即席の仲間になったホッポとリピスは話を聞くと旅芸人一座に属しているのだという。

体躯の大きめなホッポは裏方の力仕事担当で華奢な女の子のリピスは剣舞をするらしい。

楽しみがまた増えてしまったので街に着いたらぜひ見たいと伝えておいた。

「こいつも愛想はねえけど剣舞の腕はなかなかのモンだからな!」

「余計な事を言わなくていいのよ…。ほら、もうすぐ目的地の湖畔に辿り着くわ」

2人が賑やかに口喧嘩を繰り広げてくれたお陰で気まずくなることもなく目的地に辿り着くことができそうだ。

獣道をかき分けて進めば逆光の眩しさが目に刺さる。そのまま道を抜ければ湖が広がっていた。

「んー?こんなとこに人が来るのは珍しいな?」

目が慣れるまでに数瞬かかったが、輪郭がはっきりしてくると青い獣耳の青年が湖のほとりに腰掛けているのが目に入る。

クッションのようなふかふかで長いしっぽの形からキツネの獣人だと判断できる。

「あ、びっくりさせたならごめん!!

オイラは旅しながら絵を描いてるケットって言うんだ!よろしく!!」

そう言って勢いよく立ち上がると人懐っこい笑顔で握手を求めてくる。

そのまま握手を返しながらここに来た目的を簡単に伝えた。絵を描いていたなら目的の鳥がどの辺りにいたかを見ているかもしれない。

しかしケットは少し複雑そうな顔をしてよく動く耳を垂れさせた。

「あー……。そのクエスト、もしかしたら達成ムズイかもしんないよ……」

「なんでだよ?そんなに強い鳥じゃないだろ?」

話を聞いてたホッポが口を挟めばケットはふるふると首を振って

「強さ自体はそんなだと思うけど、さっき同じような目的の2人組がすごい勢いでここらのトールト鳥を狩っていったから……」

もうこの辺には残っていないんじゃないかな、と告げられた。

なんという不運が重なるのだろう。

どうやら、またしても絶品のサンドイッチはお預けを食うらしい。

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登場人物 旅の絵描き ケット

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